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「むむむ
... 手強そう .. でも ... おもしろそう ... 」。
学研大人の科学シリーズ第10弾の弓曳童子のパッケージを開けたときの正直な感想です。
パッケージの中のすべての部品を取りだして並べると次のようになります。

どうです?
「手強そう」といった感想がこれでおわかりいただけたと思います。
ということで、今回は弓曳童子を取りあげます。
弓を射ることは、人間が実際に行うにしても難しい作業だと思います。
それをからくり人形で再現しようとした背景には、江戸時代から現代に伝わる匠(たくみ)の技(わざ)がありました。

そんな、こだわりと醍醐味を弓曳童子から感じることができます。
それと同時に、物作りの原点とはなんなのかも学ぶことができると思います。
弓曳童子を組み立てるのに、特殊な工具は必要ありません。
次のようなパッケージに付属している工具と、私たちの身の回りにあるもので組み立てることができます。

このように、オイル、ゼンマイ巻き、ピンセット、ペグ回し、プラスドライバーが付属工具としてパッケージに同梱されているため、そのほかにはつまようじ、洗濯ばさみ、はさみ、定規を用意します。
弓曳童子は、とても手が込んだ作りになっています。
そして、組み立てる側にたった制作者の配慮を感じることができます。
このことは、次のねじとナットのパッケージからも感じとることができます。

このように、弓曳童子の組み立てに必要な6種類のねじとナットのパッケージは、すべてアルファベット毎に分類されています。
その上、次のようにAとEのねじとねじ止め練習用部品を使用して、あらかじめねじのしめ方の練習ができるようになっています。

「いまさらなんでねじのしめ方の練習をしなければならないのだろう?」
と思った方もいらっしゃると思いますが、実は弓曳童子の組み立てに必要なねじのほとんどは、タッピングねじと言われるもので、通常のねじとは異なるタイプのものが使われています。
このタッピングねじは、指定された穴に軽くねじ先を押しあててドライバーで回すと、ねじのみぞをきざみながらねじ込まれていくというものです。
つまり、通常のねじよりもドライバーを回す力がかかり、最後までねじこんだときにドライバーの回転を止めなければ、きざんだねじみぞがつぶれてしまうのです。
それゆえ、あらかじめねじのしめ方の練習ができるようになっているのです。
補足になりますが、ドライバーなどの工具があらかじめ付属している弓曳童子の組み立てにあたって、あったら便利なものがひとつあります。
それは、市販のドライバー用マグネタイザーです。
マグネタイザーは、知る人ぞ知る便利グッズのひとつで、ドライバーの先端を磁気化するために使用します。
つまり、ドライバーの先端が磁石と同じになり、小さなねじ(鉄製)をくっつけたままねじこむ穴のところまで移動させることができます。
これで、小さなねじを小さなねじ穴にねじこむときに、手がすべってねじをなくしてしまうというアクシデントを防止することができます。
そこで、次のように弓曳童子に付属していたプラスドライバーを市販のドライバー用マグネタイザーで磁気化してみました。

このようにドライバー用マグネタイザーで弓曳童子に付属していたプラスドライバーを磁気化すれば、以降の作業で小さいねじを誤ってなくすことが防げると思います。
それでは、準備が整ったところで、ここからは実際に弓曳童子を組み立てる様子を見ていきましょう。
弓曳童子の組み立ては、組み立て説明書/完成品使用説明書の手順に従い、1.動力部の組み立て→2.駆動部の組み立て→3.動作チェック→4.弓曳童子の体の組み立て→5.糸かけ→6.糸の初期調整→7.矢立ての組み立てとセット→8.矢立と右腕の位置の調整→9.弓曳きのチェック→10.着物と袴を着せ障子をセット→11.的の組み立ての順に行っていきます。
それでは、各工程の手順を大まかに見ていきましょう。
1.動力部の組み立て
ゼンマイを背板に取り付け、中板に右側板と左側板を取り付けます。

2.駆動部の組み立て
7枚のカム板とカムを指定通りに交互に組み合わせていきます。

3.動作チェック
ゼンマイ巻きでゼンマイを巻き、左上のスイッチを下げて動作をチェックします(スイッチを1段下げると1回だけの動作で止まり、2段下げるとゼンマイが止まるまで動作を繰り返します)。
とくに問題がなければ、7枚のカム板が上下(カム板1のみ左右)に動きます。

4.弓曳童子の体の組み立て
動作チェックした駆動部を台の上に取り付け、その上に右半身、左半身、肩板を取り付けます。

5.糸かけ
糸を巻き付けるペグにあいている小さな穴に糸を通して結んでいきます。
そして、糸のもう片方を指定された部品に結んでいきます(部品が小さいだけに根気がいる作業です)。

6.糸の初期調整
カム板2〜カム板7についているペグをペグ回しで回しながら糸の初期調節を行います。

7.矢立の組み立てとセット
天板を取り付け、その上に組み立てた矢立てを取り付けます。
そして、透明の糸を矢立ての端に結び、もう片方に金色のひょうたん型のおもりを結びま
す。
このおもりの効果で、矢立てから矢が引き抜かれれば、矢立てが右に動き、次の矢が先ほどと同じ位置にきます。

8.矢立てと右腕の位置の調整
右腕が正確に矢をつかめるように胴体の2カ所のねじを調整します。

9.弓曳きのチェック
矢をつかんで弓を曳く一連の動作がスムーズに行くかどうかを確認します。
もし、スムーズに動かないときは、各ペグをペグ回しで回しながら糸を調整します(腕の左右の動きの調整は、胴体側にある2カ所のねじを左右に回して調整します)。

10.着物と袴を着せ障子をセット
胴体に着物を着せ、台の左右と前の部分に障子をセットすれば弓曳童子の本体は完成です。
矢は、矢立てに4本セットすることができます。

11.的の組み立て
最後に的を組み立てます。
この的を弓曳童子の右側の矢が飛ぶところに置けば、すべてが完成します。
また、付属の矢は、全部で8本(一度にセットできるのは4本)あるため、通常は専用台に立てておくことができます。

以上のように駆け足で見てきましたが、弓曳童子の組み立てには手間と時間がかかります。
しかし、組み立てながら原理としくみを楽しみながら学ぶことができます。
でも、安心してください。自分で組み立てる自信がない方向けに完成品の弓曳童子も販売されています(組み立て済みの分、ちょっと価格は割高ですが、木製の特製化粧箱もついています)。
この完成品を購入すれば、即、弓曳童子の醍醐味に触れることができます。
弓曳童子の詳細は、学研の公式サイトで確認することができます(弓曳童子が実際に弓を射る動画を見たり、特製化粧箱のみを購入することもできます)。
ちなみに、特製化粧箱に弓曳童子を入れると、次のようになります(弓曳童子がぴったり収まるようになっています)。

弓曳童子は、江戸時代から引き継がれてきた匠の技を現在ふうに再現した貴重な製品であると感じるとともに、今後は他のからくり人形をぜひとも商品化してほしいと願っています。
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